
こんにちは。パンタグラフの中谷です。
春先になると、新年度に向けた準備や人の入れ替わりも増えて、会議や打ち合わせの数も一気に増えてきますよね。そうなると、現場でよく飛び交う言葉に以下のようなものがあります。
「もう少しロジカルに説明して」
「その話、結局何が言いたいの?」
「で、根拠はあるの?」
皆さんも一度は言われたことがあるのではないでしょうか。
ただ、言われた側からすると、けっこうモヤモヤしますよね。
「ちゃんと考えているつもりなんだけどな」
「感覚で言ったわけじゃないんだけどな」
そんな気持ちになりますよね。
今日は、ビジネスにおけるロジカルシンキング活用とは何か、というテーマでお話しします。
結論から申し上げます。
ビジネスにおけるロジカルシンキングとは、正しい答えを見つけるためだけのものではありません。
相手が納得し、行動できるように、情報を整理し、筋道立てて伝えるための技術です。
学問の世界であれば、論理的であることは「矛盾がないこと」や「筋が通っていること」が中心になります。
もちろんそれも大切です。
ただ、ビジネスの現場ではそれだけでは足りません。
なぜなら、ビジネスは人が動いて初めて前に進むからです。
どれだけ自分の中で筋が通っていても、上司が納得しなければ提案は通りません。
お客様が納得しなければ契約にはつながりません。
部下が納得しなければ指示どおりに動いてはくれません。
つまり、ビジネスにおけるロジカルとは、
「自分が正しいと思うこと」ではなく、
「相手が納得できる程度に筋道が通っていること」なんです。
では、なぜ多くの人がロジカルシンキングを難しく感じてしまうんでしょうか?
理由はシンプルです。
多くの人が、ロジカルシンキングを「頭のいい人の特殊技術」だと思っているからです。
でも、はっきり申し上げます。
それは違います。
ロジカルシンキングは、センスではなく型です。
特別な才能ではなく、順番の問題なんです。
例えば、上司にこんな報告をしたとします。
「最近、現場がかなり忙しくて大変です。だから人を増やした方がいいと思います」
言いたいことは分かりますよね。
でも、この説明だと通りにくいんです。
なぜか。
「忙しい」と「人を増やすべき」が、話し手の頭の中ではつながっていても、聞き手には十分に見えていないからです。
これをロジカルにすると、こうなります。
「ここ三か月で受注件数が前年同期比120%になっています。その一方で人員は変わっていません。その結果、一人当たりの残業時間が月平均で一五時間増えています。このままだとミスや離職のリスクが高まるため、増員もしくは業務の再配分が必要です」
どうでしょうか。
同じ方向の主張でも、納得感がまったく違いますよね。
つまり、ロジカルシンキングの第一歩は、主張と根拠のつながりを明確にすることです。
自分では当たり前だと思っていることほど、相手には当たり前ではありません。
ここを飛ばすと、「言っていることは分かるけど、弱い」という評価になります。
現場で多いのは、まさにこれです。
そしてもう一つ大事なのが、全体像と筋道です。
人はどうしても、自分にとって都合のいい情報や、目に入りやすい情報に引っ張られてしまいます。
つまり、一部だけを見て全体を判断しがちなんです。
例えば、あるスーパーの店舗で売上が上がったとします。
そのときに部下が、
「気温が高かったのでアイスが売れました。だから売上が伸びました」
と報告してきたらどうでしょうか。
たしかに、それっぽいですよね。
でも、店長としてはそこで終わってはいけません。
本当に知りたいのは、店舗全体の売上がなぜ上がったのかです。
アイスだけなのか。
飲料も伸びたのか。
客数が増えたのか。
単価が上がったのか。
平日なのか休日なのか。
販促の影響はなかったのか。
このように、部分ではなく全体を見ることが必要になります。
しかも厄介なのは、少しもっともらしい説明ほど、人は深掘りしなくなることです。
「なるほど、暑かったからか」と、そこで思考停止してしまうんです。
これ、現場ではかなり危険です。
なぜなら、間違った前提で次の施策を打ってしまうからです。
たとえば、本当の要因が「近隣の学校行事で親子連れが増えたこと」だったのに、「暑い日にはアイスを増やせばいい」とだけ判断してしまったら、次の手がずれますよね。
ロジカルシンキングは、話す技術でもありますが、同時に受け取る技術でもあります。
つまり、聞いた話を鵜呑みにせず、全体像を疑う力でもあるんです。
ここ、実はかなり重要です。
ビジネスの現場では、情報発信者は自分に都合のいい材料を出しやすいです。
悪気がなくてもそうなります。
自分が見えている範囲、自分が説明しやすい範囲、自分が評価されやすい範囲で話すからです。
だからこそ、受け手は
「他に見落としている観点はないか」
「それは全体の話か、一部の話か」
「その結論に飛ぶには、情報が足りているか」
と考えなければいけません。
この視点があるだけで、判断の質はかなり変わります。
そして、ロジカルシンキングを現場で活かすうえで避けて通れないのが、MECEです。
いわゆる「モレなく、ダブりなく」ですね。
言葉を知っている人は多いかもしれません。
でも、実際に使える人はそれほど多くありません。
例えば、「空港を利用する人を分類してください」と言われたとき、
「旅行客」「出張の人」「見送りの人」「空港で働く人」
という分け方をしたとします。
悪くないように見えますが、よく考えると重なりや漏れが出る可能性があります。
出張で来ていて、ついでに買い物もする人はどこに入るのか。
空港で働く人の家族の見送りはどう扱うのか。
切り口が混ざると整理が崩れるんです。
MECEで大事なのは、賢そうに分類することではありません。
何のために分けるのかを明確にすることです。
例えば、空港内サービスを考えたいなら、
「飛行機に乗る人/乗らない人」よりも、
「滞在時間が短い人/長い人」
「一人利用/家族利用」
「国内線利用/国際線利用」
の方が役に立つかもしれません。
つまり、分類は目的に従うべきなんです。
ここを外すと、きれいに分けたつもりでも、仕事には使えません。
これ、研修でも本当によくあります。
皆さん一生懸命に分けるんですが、「で、その分類は何に使うんですか?」と聞くと止まるんです。
もったいないですよね。
ロジカルシンキングは、見た目を整える作業ではありません。
意思決定しやすくするための整理なんです。
では、実際のビジネスでどう活用できるのか。
代表的な場面を三つ挙げます。
一つ目は、報告です。
報告が長い人、いますよね。
本人は丁寧に話しているつもりなんですが、聞いている側はだんだん分からなくなります。
こういうときは、「結論→理由→事実」の順に並べるだけでかなり伝わりやすくなります。
例えば、
「A社への提案は今週中の提出が難しいです。理由は、先方から追加要件が二点来ており、見積もりの再計算が必要だからです。現時点では金曜午前なら提出可能です」
こう言われると、聞き手は判断しやすいですよね。
二つ目は、説得です。
上司への提案、他部署との調整、お客様への提案。
これらは全部、相手を動かす仕事です。
このときに大事なのは、自分が言いたいことではなく、相手が気にするポイントから組み立てることです。
例えば学生に向けて「うちはいい会社です」と伝えたいとします。
ここで
「社員同士の仲がいいです」
だけでは弱い場合があります。
学生が気にしているのは、休日、給与、成長環境、勤務地、将来性かもしれません。
つまり、相手の関心軸に合わせて根拠を選び直す必要があるんです。
自分にとっての良い会社と、相手にとっての良い会社は違いますからね。
ここを無視すると、熱量はあるのに刺さらない説明になります。
これ、営業でも採用でも本当によく起きます。
三つ目は、問題解決です。
問題が起きたとき、人はすぐ原因を一つに決めたがります。
「あの人の意識が低いからだ」
「最近の若手は我慢が足りない」
「売上が落ちたのは景気のせいだ」
言いたくなる気持ちは分かります。
分かりますが、だいたい雑です(笑)。
問題解決で必要なのは、原因を丁寧に分けることです。
例えば売上低下なら、
客数なのか、客単価なのか、リピート率なのか、商材構成なのか。
さらに、その背景として、
認知不足なのか、価格なのか、接客なのか、競合なのか。
こうやってツリーで分けていくと、感覚論から抜け出せます。
ここで役に立つのが、ロジックツリーやフレームワークです。
フレームワークというと難しく感じるかもしれませんが、要は「考え漏れを防ぐための型」です。
先人たちが散々悩んで作ってくれた便利な枠組みですから、使わない手はありません。
全部ゼロから考える必要はないんです。
さらに、ビジネスでは仮説思考も重要です。
すべての情報がそろってから考えようとすると、遅いんです。
現場はそんなに待ってくれません。
だからこそ、
「たぶん原因はここではないか」
「おそらく相手が気にしているのはこれではないか」
と仮の結論を置いて、検証していく。
この進め方が大事になります。
もちろん、仮説は外れることもあります。
でも、それでいいんです。
外れたら、どこが違ったのかを見れば次の精度が上がるからです。
最初から完璧を目指して止まるより、仮説を持って動いた方が前に進みます。
ロジカルシンキングは、慎重になるためだけのものではなく、スピードを上げるためのものでもあるんです。
ただし、ここでも注意点があります。
ロジカルシンキングを学ぶと、つい「正しく論破すること」が目的になってしまう人がいます。
これは危ないです。
相手を言い負かすことと、相手に納得してもらうことは違います。
会議で相手の矛盾をきれいに突いても、関係性が悪くなれば次がやりづらくなります。
現場では、正しさだけでなく前に進むことが大切です。
ですから、ロジカルシンキングは冷たく使うものではありません。
相手理解とセットで使うものです。
「この人は何を不安に思っているのか」
「何が引っかかって動けないのか」
「どんな順番なら受け入れやすいのか」
そこを考えた上で、主張と根拠を組み立てる。
これができると、説明は一気に強くなります。
いかがでしたか。
ビジネスにおけるロジカルシンキング活用とは、単に話をきれいに並べることではありません。
相手の視点を踏まえ、全体像を押さえ、根拠を整理し、行動につながる形で伝えることです。
難しく見えるかもしれませんが、やることは意外と地に足がついています。
主張と根拠をつなぐ。
全体を見る。
モレやダブりを減らす。
相手目線で組み立てる。
まずはここからで十分です。
明日からぜひ、
「自分は何を言いたいのか」
だけでなく、
「相手は何なら納得できるのか」
を意識してみてください。
この視点が入るだけで、会議も報告も提案も、かなり変わります。
ご安心ください。ロジカルシンキングは、一部の頭のいい人だけの武器ではありません。
現場で働く私たち全員が使える、かなり実用的な道具です。
使わないともったいないですよね。
最後に、明日からすぐできる使い方を三つだけお伝えします。
一つ目は、話す前に「結論は何か」を一文で書くことです。
頭の中だけで整理しようとすると、意外とぼやけます。紙でもメモでもいいので、一文にすると自分の主張がはっきりします。
二つ目は、「その根拠は相手に刺さるか」を確認することです。
自分が納得している根拠と、相手が納得する根拠は違います。ここを一回立ち止まって考えるだけで、説明の精度はかなり上がります。
三つ目は、「他に見ていない観点はないか」を自分に問いかけることです。
部分最適で話していないか、モレやダブりはないか、都合のいい情報だけ拾っていないか。この確認を入れるだけで、浅い結論に飛びつきにくくなります。
難しいことを全部一気にやる必要はありません。まずは一つで十分です。小さく使い始めるだけでも、仕事の質はちゃんと変わっていきます。
ロジカルシンキングは、難しい理屈を覚えることではなく、相手とのズレを減らすことです。ここが腹落ちすると、学び方も使い方も変わります。つまり、現場で使えて初めて意味がある、ということです。頭の体操で終わらせないでくださいね。そこが勝負です。大事ですよ。本当に。ぜひ!!!
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。